アパレル業界の廃棄課題を解決!通販モール「SMASELL」の福屋さんが立ち上げた「PHOENIX LAB. PROJECT」

2023.9.5 | Author: 池田アユリ
アパレル業界の廃棄課題を解決!通販モール「SMASELL」の福屋さんが立ち上げた「PHOENIX LAB. PROJECT」

毎週日曜11時から13時まで、全国のコミュニティFM(一部地域を除く)を結んで放送している地域SDGs情報バラエティ『ロコラバ』。今回は2023730日放送の『深堀り』のコーナーから、バングラデシュで行き場の失った洋服に新たな価値を与える取り組みを紹介します。

 

世界第2位のアパレル輸出国として経済成長を遂げている南アジアの国、バングラデシュ。しかしコロナ禍による衣料品需要の減少は、現地の縫製工場で働く人々の生活に大きな影響をもたらしました。

この問題を解決しようと立ち上がったのが、アウトレット通販モール「SMASELL(スマセル)」を運営する株式会社ウィファブリック。行き場を失った衣料品を良質なデザインに再生し、手ごろな価格で提供する「PHOENIX LAB. PROJECT(フェニクス・ラボ・プロジェクト)」を発足。現地労働者の雇用を守り、ファッションロスを救う地球規模の取り組みにチャレンジしています。

 

今回は、株式会社ウィファブリックの代表取締役・福屋剛(ふくや・つよし)さんにお話を伺いました。

アウトレット通販モール「SMASELL(スマセル)」とは?

――福屋さんは繊維商社で10年ほど勤務しました。繊維ファッション業界が抱える課題解決のため、2015年に起業。2017年に立ち上げたサステナブルアウトレットモール「SMASELL」は、 出店者数が1200社、ユーザー数は約25万人います。テレビ番組「ガイアの夜明け」でも話題になり、2018年には循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰、日経優秀製品サービス賞優秀賞、日経産業新聞賞などを受賞。2019年にはフォーブスジャパンの日本のインパクトアントプレーナーにも選出。現在、繊維ファッション業界の廃棄課題の解決に情熱を燃やす起業家として注目を集めています。福屋さん、「SMASELL」を立ち上げたきっかけを教えていただけますか。

私が商社に勤めていた時は、大量生産、大量廃棄型のモデルで働いていました。ある日、調べてみると、「世界中で3000億着の洋服が捨てられている」ということを知ったんです。自分自身がお世話になった業界に対して、「何か恩返ししたいな」という思いで、2015年に起業に至りました。

ウィファブリックの代表取締役・福屋剛さん

――「SMASELL」のコンセプトとは?

「お得に買って、地球を守る」というキャッチフレーズ通りです。お客様は7,000以上のブランドから、最大95%オフの割引率で商品を購入いただけます。

――95%オフ!? ほぼタダみたいですね。

そうなんです。かつ、その商品を買うごとに、CO2の削減量が「見える化」されます。たとえば、Tシャツを1着買うと「約350gのCO2が削減される」ということがわかるようになっています。

さらに、1回の購入あたり、一部の売り上げが森林保全団体に寄付される仕組みです。サイトが活性化すればするほど、自然環境も良くなっていくプラットホームになっています。


行き場を失ったキャンセル品と労働者を救うべく立ち上がった「PHOENIX LAB. PROJECT」

――アパレル業界を取り巻く世界的な労働環境問題について、お聞かせいただけますか。

10年以上前に、バングラデシュで「ラナプラザ」というビルの倒壊事故がありました。耐震強度もままならないビルで、大手のアパレル企業から大量な発注が入り、過酷な労働環境の中で多くの方が働いていたんです。そのビルが突然崩壊してしまい、1,000人以上の死者が出ました。

バングラデシュには、以前から慢性的に過酷な労働環境に強いられてきた背景があります。コロナによって、さらにそこに追い打ちをかけるように、企業から大量のキャンセルが入りました。その規模は約3000億円以上と言われています。行き場を失ったキャンセル品とともに、危機的な状況で働く労働者たちの雇用も数百万人規模に渡りました。それを救うべく立ち上げたのが、「PHOENIX LAB. PROJECT」になります。

――具体的にどんなことをされているのでしょう。

まずはたくさんのキャンセル品をピックアップします。そして、パリコレでも活躍しているブランド「yoshio kubo」のデザイナーである久保 嘉男さんにリメイク品としてアップサイクルしてもらい、付加価値をつけて手頃な価格で、ユーザーにお届けしています。

「yoshio kubo」の商品は、たいていTシャツで2万円前後、アウターで10万円前後しますが、アップサイクルした商品ならTシャツで5000円以下、アウターで1万円台ほどでお買い求めいただけます。素敵な商品に仕上がっているので、ぜひ楽しんで着ていただければと思います。

――「yoshio kubo」の久保さんも、アパレル業界を巡るさまざまな環境への問題を心配されてのことだったのでしょうね。


SDGsを体験できる複合施設が大阪にOPEN⁉

――また、SDGsを体験できるリアル複合施設を計画中だと伺いました。

2024年の2月から4月ごろに大阪にて、ご家族で楽しみながらSDGsを体験できる複合施設を企画しています。環境や人へのやさしさにこだわったレストラン、SDGsに関連したファッションからインテリアに至るまで、幅広く衣食住を体験できます。まだ東京にもそういった施設がなく、新しいタイプの場所になるのではと思っています。

――たしかに、期間限定でSDGsに関連するイベントなどは見かけますが、施設というのは見たことがないかもしれませんね。最後にリスナーの皆さんにメッセージをお願いします。

「PHOENIX LAB. PROJECT」は、2023年9月もしくは10月ごろに先行予約販売を行う予定です。ポップアップショップとして、東京ですと伊勢丹の新宿店、大阪ですとルクア イーレ
にて、9月15日から予約先行販売を開始しますので、ご興味ある方はぜひお越しください。

――「SMASELL」も利用させていただきますね。福屋さん、ありがとうございました!

***

(番組パーソナリティ 横田)
「PHOENIX LAB. PROJECT」のサイトを見てみると、服のラフ画が載っているのですが、とってもかわいいんです! ユニセックスで、どんな方でも着られる柄や形だと思いますね。生地の持つ素材を生かしたデザインになっています。

聴き逃し配信:AuDee他 で過去の放送をアーカイブ中!


『ロコラバ』の過去の放送内容は、ポッドキャストからお聴きいただけます

全国のコミュニティFMを結んでお届けしているラジオ版『ロコラバ』の過去の放送内容は、いつでも、どこでも、『Audee』『Spotify』『Amazon Music』のポッドキャストからお聴きいただけます。

▶『AuDee』で聴く
▶『Spotify』で聴く
▶『Amazon Music』で聴く

文・構成=池田アユリ
編集 = ロコラバ編集部

シェア

  • Twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク

カテゴリ