毎週日曜11時から13時まで、全国のコミュニティFM(一部地域を除く)を結んで放送している地域SDGs情報バラエティ『ロコラバ』。今回は2月5日放送の『地域人』のコーナーから、和歌山県南紀地方のサッカークラブによる地域貢献の取り組みをご紹介します。
2022年、和歌山県の社会人3部リーグに参入したばかりの新しいサッカークラブ「南紀オレンジサンライズFC」。選手やスタッフは和歌山県外から移住し、農業を中心とした仕事に取り組みながら、サッカーだけでなく地域貢献活動も積極的に行っています。
「サッカークラブ×移住×農業」をテーマに、和歌山県南紀地方を活性化させ、地域と一体となり成長していくことを目指す同クラブ。今回は、代表の森永純平(もりなが・じゅんぺい)さんにお話を伺いました。
――森永さん、「サッカークラブ×移住×農業」という組み合わせは、どのように生み出されたのでしょうか。
私は野球やサッカーチームのスタッフをしていた経験があります。そのなかで感じたのは、「勝てばオッケー」という勝利至上主義でした。そういったチームですと、競技に興味のない人にはなかなか応援されにくいんですね。競技に興味がない方にも愛されるクラブじゃないと、大きくなっていけないのではと思ったことがきっかけでした。
「勝ち負けは関係なく、もっと応援される方法はないかな?」と考えているうちに、人手が不足している場所でサッカークラブを作り、選手たちが地元の企業で働きながらサッカーに取り組めば、その地域の活性化に繋がるんじゃないかと思ったんです。
――和歌山県田辺市、みなべ町を拠点にした理由は?
私は京都府出身で、和歌山県は縁もゆかりもない場所でしたが、当初から「 移住と組み合わせてやろう」という思いがありました。移住に力を入れている都道府県を探し、実際に現地に足を運びました。そのなかで和歌山県みなべ町は、梅の栽培が盛んで、農家の後継者不足や人手不足が問題になっていることを知りました。そこで、「この地域で、選手たちに農業を取り組んでもらおう」と思ったんです。
――移住した選手やスタッフの皆さんは、どんな経歴を持っているのでしょう。
大学までサッカーをしていた選手もいますし、ブランクはあるもののクラブの取り組みにおもしろさを感じて入った選手もいます。いろんな経歴を持った方が集まってくれています。
――選手の皆さんの年齢はどれくらいですか。
最年少が20歳で、1人40歳の方もいます。
――すごい。オールドルーキーで夢がありますね。どのように農業と関わっていますか。
この地域で盛んであるみかんや梅の栽培は季節労働です。梅なら6月、みかんなら12月が忙しく、 年中仕事があるわけではありません。ただ、地元の方々は高校を卒業すると県外に出てしまうことが多いので、地元の企業では若い男性の労働力が不足しているんです。そのため農業だけでなく、梅の加工会社や介護施設で働いている選手もいます。
――地域の方々の反応はいかがですか?
働き手が増えて喜んでいただけていると思います 。実は、試合に応援に来てくださる方々はサッカーを見たことがないという人ばかりです。選手がこの地域で働くことをきっかけに、チームとサッカーに興味を持っていただけていると思います。
――今後の目標を教えていただけますか。
サッカークラブとしての目標は、去年は社会人の3部リーグに参入して優勝したので、今年は2部リーグで勝利して1部に昇格したいと思っています。来月からカップ戦もあるので、そこで良い結果を残せるように頑張りたいです。
サッカーに興味を持っていない人にどれだけ応援してもらえるかが課題だと思っていますので、サッカー以外の部分でも、地域の皆さんに必要性を感じていただけるよう、地道に活動していきたいです。
――最後に、リスナーへメッセージをお願いします。
「南紀オレンジサンライズFC」は、地域に根ざした移住と農業をテーマにしたサッカークラブです。これからもクラブを通じて、和歌山県の魅力を発信できたらと思っています。私たちクラブや和歌山県に興味を持ってもらえたらうれしいです。
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(番組パーソナリティ 横田さんコメント)
先日、「日本はサッカー人口が少ない」というニュースを見ました。森永さんが活動されているような形でサッカー人口を増やす方法があるんだなと、おもしろいなと思いました。
(番組パーソナリティ 川久保さんコメント)
東京都立川市にあるフットサルのチームは、子どものサッカークラブで教えるなど、地域の繋がりを意識した取り組みを行い、約2300人の観客を集めました。森永さんのお話にも通じるものを感じましたね。「あの選手も頑張っている」という気持ちにさせてくれる、街のシンボルのような存在は素敵ですね。
文・構成 = 池田アユリ
編集 = ロコラバ編集部