毎週日曜11時から13時まで、全国のコミュニティFM(一部地域を除く)を結んで放送している地域SDGs情報バラエティ『ロコラバ』。今回は7月9日放送の『地域人』のコーナーから、神奈川県で着物をリメイクする80歳のデザイナーの取り組みを紹介します。
神奈川県大和市のアトリエ漣(れん)でデザイナーを務める吉田みわ子さんは、「もったいない」の精神から、45年間、着物のリメイク商品を作り続けています。
女性をより美しく魅せ、かつ簡単に作ることができるデザインを追求したオリジナル型紙「美シルエット」シリーズなど、着物と洋服の良いところを融合させたデザイン性がSNSで海外からも注目。今年2023年4月には「バンクーバーファッションウィーク2023 Fall/Winter」からオファーを受け、80歳のデザイナーとして作品を出展。オンラインショップ、SNS、展示即売会、洋裁教室開催など、歳を重ねることを楽しみながら精力的に活動中です。
今回は、吉田みわ子さんにお話を伺い、歳を重ねながら人生を楽しむコツを教えていただきました。
――1943年生まれの吉田さんは、神奈川県大和市在住の主婦。今年で80歳です。 骨董市などで売られていた古い着物生地に魅せられ、洋服としてリメイクすることを思いついて、45年間着物リメイク服を作り続けています。吉田さん、着物をリメイクする理由を教えていただけますか。
今は皆さん、あまり着物を着られませんよね。おばあ様やお母様の着物がタンスの中に必ずあるはず。着ていないけれども、何十年も眠っているんです。それを蘇らせて、今風の服に作り変えて、デザインや色を楽しもうといったコンセプトです。
アトリエ漣 デザイナー 吉田みわ子さん
――着物の魅力って、どういうところに感じられていますか。
着物の素材は綿かシルクで、色や柄も日本的であり独特です。とても魅力があると思います。
――カナダの「バンクーバーファッションウィーク2023 Fall/Winter」からオファーが来たというのは、すごいことですよね。
びっくりしました!
「ファッションショーに出演してみないか?」と言うお話でしたね。日本人のコーディネーターの方からメールをいただいたんです。
――80歳という年齢で世界に羽ばたくチャンスを掴むのは、なかなかありませんよね。「これは掴まなきゃ!」って思われましたか。
たしかに滅多にあることではありませんので、「できることならば出演してみたい」と思いましたね。
――ただ、当日は体調が優れず、(現地へは)行かれなかったそうですね。お嫁さんが代わりに行ってくれたんですか。
はい、そうなんです。私は直接行けませんでしたが、ネット中継などでずっと見ていました。
「バンクーバーファッションウィーク(VFW)2023 Fall/Winter」
――現地での反響はいかがだったのでしょう。
かなり注目を浴びたようです。拍手大喝采だったと聞きました!
――おそらく海外の方は着物だけでもときめくと思いますが、それが新しい感性でモデルの方が着て登場するわけですよね。絵が浮かびます 。
――日本でも興味を持たれる方が多いのでは?
そうですね。着物リメイクに興味を持ってくださる方って、けっこう多いんです。着物を1枚潰すと、1反ほど(約12m)使うことになります。それで洋服を仕立てますと、端切れなどの布が余りますよね。それを絶対に捨てないで、最後まで使い尽くすということにこだわっています。たとえば、マスクや帽子を作ったんですが、そういった商品が今までになかったようで、かなりヒットしました。
――小さなことに想像力を巡らせて形にしていくことが、吉田さんのライフスタイルを豊かにしているようにお見受けしました。 今後、挑戦したいことはありますか?
昔は5月人形を飾る時、一緒に(子どもの名前が書かれた)のぼりを出しましたよね。でも、(子どもが大きくなって)使わなくなったらどうしようもない。かといって子どものために作られたので、ポンと捨てられるものじゃないです。ただ、のぼりっておもしろい色や柄が使ってあるんです。それを活かして、どこにもないタペストリーやランチョンマットが作れるなと考えています。
――いいアイデアですね。
ありとあらゆるジャンルの布を仲間に入れていこうかなと思っています。
――最後に、リスナーの皆さんへメッセージをお願いします。
年を重ねないと気付かないことっていっぱいあると思うんですけど、私は重ねてきたので(笑)。今までになかったものをクリエイトすることが、年をとったらすごく大事です。どんなものにも興味を持てますから、飽きないですし、頭を使う。世の中にないものを作るから、ときめくんです!
「着物の端切れを最後まで使い切ろう」と考えると、いろんなアイデアが湧いてきます。無駄を出さないためにはどうしたらいいのかと知恵を絞っていくと、きっとおもしろいものが生まれますよ。Instagramやオンラインショップで公開していますので、よろしければご覧ください。
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(番組パーソナリティ 横田)
新しい感性って、若い人の特権じゃないのだなって感じましたね。経験を積み重ねてからしか見えない見方があることに、すごくときめきました。
(番組パーソナリティ 川久保)
いろんなことを習得してきたからこそ、若い頃とは異なる知恵やアイデアが出てくるんでしょうね。どんどんときめいていこう!
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文・構成=池田アユリ
編集 = ロコラバ編集部